【話せるのに書けない?】発達障害のある子の「文章力」を育てる6つのステップ。才能ではなく日常の積み重ねで伸びる力

目次

はじめに

「自分の気持ちをうまく言葉にできない」 「作文の宿題になると、何を書いていいかわからない」 「口頭ではたくさん話せるのに、文章になると途端に難しくなる」

発達障害のあるお子さんについて、このような勉強面の悩みを耳にすることがあります。

文章力というと「国語が得意な子だけが身につく特別な才能」と思われがちですが、実はそうではありません。文章力とは、自分の考えや経験を整理し、相手に伝える力です。

学校の作文だけでなく、友達とのメッセージのやり取り、進路選択、就労、社会人になってからの報告・連絡など、生涯にわたって必要となる大切な力です。

今回は、発達障害のあるお子さんの文章力を、無理なくスモールステップで育てるためのポイントについて考えてみたいと思います。

1. 文章を書く前に「話す力」から土台を作る

文章を書くことが苦手なお子さんでも、会話の中では生き生きとたくさん話せることがあります。

実は、1本の文章を書くためには、脳の中で以下のようなマルチタスクが同時に行われています。

  1. 出来事を思い出す(記憶の整理)
  2. 順番に並び替える(構成)
  3. 相手に伝わる言葉を選ぶ(表現)
  4. 実際に手を動かして文字にする(微細運動)

そのため、まずは「文字を書く」前に、会話の中で考えを整理する経験が大切です。

  • 「今日、学校で一番楽しかったことは何?」
  • 「誰と一緒だったの?」
  • 「それをして、どんな気持ちになった?」

このように、大人が優しい質問でナビゲートしながら話を広げてあげましょう。口頭で話せた内容は、いずれ文章の強力な素材(引き出し)になっていきます。

2. 読書の枠を広げて「読む経験」を増やす

文章力を高めるためには、たくさんの文章に触れて「言葉の引き出し」を増やすことが重要です。しかし、活字だけの読書が苦手なお子さんも多いですよね。その場合は、無理に小説などを読ませる必要はありません。

  • 漫画(マンガ)
  • 図鑑 / ゲームの攻略本
  • 興味のある雑誌
  • インターネットのニュース記事

本人がワクワクする分野であれば、何でも構いません。大切なのは「文字を目にする経験」そのものです。多くの文章に触れることで、「こんな表現があるんだ」「こういう書き方をするんだ」と、自然と言葉のストックが貯まっていきます。

3. 日常の出来事や「感情」を言葉にする習慣

文章力は、机の上の勉強だけで身につくものではありません。毎日の「今日何した?」「どんな気持ちだった?」という何気ない会話も、立派な文章のトレーニングになります。

特に発達障害のあるお子さんは、自分の内面にあるモヤモヤした気持ちを適切な言葉に当てはめるのが苦手な場合があります。

「嬉しかった」「悔しかった」「びっくりした」「ホッとした」

日常の中で、感情を表すボキャブラリーを大人が一緒に増やしてあげることが、文章を書く際の豊かな表現力に繋がります。

4. 書く「量」よりも「継続」を大切にする

文章力を伸ばそうとすると、つい原稿用紙何枚もの長い作文を書かせたくなることがあります。しかし、最初から長文を目指すと子どもは嫌になってしまいます。

  • 一文日記(1行だけ書く)
  • 今日の出来事を箇条書きで1つだけ書く
  • 好きなキャラクターについて2〜3文だけ書く

最初はこれだけで十分です。文章力は筋トレと同じで、一度にたくさん行うよりも、「毎日少しだけ書く」という習慣の積み重ねの方が、長い目で見たときに大きな成長へ繋がります。

5. パソコンやタブレット(デジタル)をフル活用する

発達障害(特にADHDやDCD・ディスグラフィアなど)のあるお子さんの中には、「手書き」そのものに強い身体的・精神的負担を感じる子がいます。

「頭の中に素晴らしいアイデアはあるのに、文字を書く作業だけで疲れ果ててしまい、文章づくりまでたどり着けない」というのは非常によくあるケースです。

そのような場合は、パソコンやタブレットでのタイピング(または音声入力)を活用するのも一つの方法です。 デジタルであれば、あとから文章を並び替えたり、思いついたことを自由に書き足したりできるため、「文章を組み立てる楽しさ」に集中しやすくなります。将来的な就労を見据えても、今からデジタルタイピングに慣れておくことは大きなアドバイスになります。

6. 一番の特効薬は「伝わった!」という成功体験

文章力を育てる上で、最も強力な原動力になるのは成功体験です。 子どもが書いた文章に対して、大人はまず以下の言葉を届けてあげてください。

  • 「何があったか、すごくよく分かったよ!」
  • 「〇〇ちゃんの楽しい気持ちが伝わってきたよ」
  • 「この表現、面白いね!」

反対に、せっかく書いたのに「誤字脱字」や「てにをは(助詞)」のミスばかりをガミガミ指摘されると、子どもは書くこと自体が大嫌いになってしまいます。まずは文章の上手さよりも、「伝えようとしたエネルギー」を100点満点で認めることが大切です。

おわりに

文章力は、生まれつきの才能ではありません。 話すこと、読むこと、書くことを、その子のペースに合わせて少しずつ積み重ねることで、誰でも確実に育っていく力です。

短い文章でも良い。好きなことについてでも良い。

まずは「自分の言葉が相手に伝わった!」という喜びをたくさん貯金していきましょう。その安心感の積み重ねが、学校生活のハードルを下げ、将来の進学や就労へ向けた自信に満ちた一歩になっていくはずです。

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