発達障がい児とインフルエンザのかかわり方
予防・発熱時の対応ポイント
インフルエンザが流行し、学級閉鎖が増える季節になると、保護者の不安は一気に高まります。
特に、発達特性のある子どもを育てている保護者からは、
- 「薬がうまく飲めない」
- 「注射がとても苦手」
- 「熱があっても元気で判断に迷う」
といった相談をよく受けます。
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)の子どもは、感覚過敏や行動特性の影響で、一般的な対応が難しい場合もあります。
そこで今回は、
発達障がいのある子どもとインフルエンザの関わり方について、
- 予防
- 発熱時の対応
- 薬が飲めないときの工夫
という視点から整理してみたいと思います。
ワクチン接種は重症化予防にも重要
インフルエンザワクチンは、接種後およそ2週間ほどで免疫がつくといわれています。
流行が始まってからでも、
- 感染予防
- 重症化の防止
という点で効果が期待できます。
発達障がいのある子どもの中には、
- 呼吸器疾患
- てんかん
- 免疫の弱さ
などを併せ持つ場合もあり、重症化のリスクが高まることもあります。
そのため、ワクチン接種は大切な予防策の一つです。
痛みが苦手な子どもには「フルミスト」という選択肢
注射が強いストレスになる子どもには、
**経鼻ワクチン「フルミスト」**という方法もあります。
これは鼻からワクチンを噴霧するタイプで、
- 注射の痛みがない
- 感覚過敏のある子でも受けやすい
というメリットがあります。
鼻粘膜に作用することで免疫がつき、一定の予防効果が期待されています。
ただし、
- 鼻水
- 鼻づまり
などの副反応が出ることがあります。
また、
- 重症喘息
- 免疫不全
がある場合には注意が必要です。
接種の可否については、必ずかかりつけ医と相談しましょう。
発熱時は「熱の高さ」より子どもの様子を見る
ASDやADHDの子どもは、体調不良の自覚が弱いことがあります。
そのため、
「39℃あるのに元気に遊んでいる」
ということも珍しくありません。
このような場合、大切なのは
熱の数字だけで判断しないことです。
次のような様子を観察しましょう。
- 水分が取れているか
- 食事ができているか
- 表情や反応
- 動きの様子
元気で水分や食事がとれていれば、必ずしも解熱剤を使う必要はありません。
一方で、
- ぐったりしている
- 水分が取れない
- 動きが鈍い
といった様子があれば、解熱剤の使用を検討します。
子どもによく使われる解熱剤
日本で小児に使われる解熱剤の多くは
アセトアミノフェン製剤(例:カロナール)
です。
用量を守れば比較的安全に使用できます。
一方で、
アスピリン系の薬は、ライ症候群のリスクがあるため小児インフルエンザでは使用しません。
薬について不安がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
薬が飲めないときの工夫
発達特性のある子どもでは、
- 味覚のこだわり
- 感覚過敏
- 嚥下の苦手さ
などの理由で、薬を飲むことが難しい場合があります。
その場合はまず、
「本当に必要な薬か」
を主治医と確認することが大切です。
抗てんかん薬やステロイドなど、内服が欠かせない薬の場合は、
- 粉薬
- シロップ
- OD錠(口の中で溶ける薬)
など、剤形を変更する方法があります。
また、
- アイスクリーム
- チョコレート
- 服薬補助ゼリー
などを使う方法も有効です。
インフルエンザは多くの場合、4〜5日程度で回復します。
内服が難しい場合には、
- 坐薬の使用
- 水分摂取
- 全身状態の観察
を優先して対応します。
けいれん・熱せん妄に注意
発熱時には、
- 急に興奮する
- 意味のない行動をする
- 走り回る
といった熱せん妄が見られることがあります。
多くの場合は一時的なものですが、
次のような場合は救急受診の目安です。
- 呼びかけに反応しない
- 5分以上続く発作
- 左右差のあるけいれん
また、てんかんのある子どもでは、発熱によって発作が誘発されやすくなります。
そのため、
- 発作時の対応薬の準備
- 家族の役割分担
を事前に確認しておくと安心です。
重症化を防ぐための日常管理
発達障がいのある子どもの中には、
- 呼吸器の弱さ
- 免疫力の低下
などの影響で、
肺炎やインフルエンザ脳症などの合併症リスクが高くなる場合もあります。
そのため、
- 予防接種
- 手洗い
- うがい
- 十分な休養
といった基本的な予防を大切にしましょう。
また、
- ぐったりしている
- けいれん
- 異常な行動
- 水分が取れない
といった症状が見られる場合には、早めに医療機関へ相談してください。
【まとめ】発達特性のある子どもの体調管理で大切なこと
発達特性のある子どもでは、
一般的な基準だけで判断することが難しい場合もあります。
そのため、
- 普段の様子
- 行動の変化
- 表情の違い
といった、日常の観察がとても大切になります。
無理のない予防と、子どもの特性に合わせた発熱時の対応を組み合わせることで、流行期も安心して過ごすことができます。
保護者が一人で抱え込まず、医療機関や支援者と連携しながら対応していきましょう。


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