発達が気になるお子様の「目のトレーニング」について
〜見る力は、学びや生活の土台になります〜
「字を読むのが苦手」「黒板を写すのに時間がかかる」「ボール遊びがうまくできない」「集中力が続かない」
このようなお悩みを感じたことはありませんか。
実はこれらの困りごとは、「視力」そのものではなく、**目の使い方(見る力)**が関係していることがあります。
この“見る力”を育てていく取り組みが、**目のトレーニング(ビジョントレーニング)**です。
目のトレーニングとは何をするの?
目のトレーニングとは、単に目を鍛えるものではありません。
目で見た情報を正しく受け取り、脳で理解し、体を動かすまでの一連の流れを整えていく支援です。
私たちは日常生活の中で、
- 目で見て
- 脳で理解し
- 手や体を動かす
というプロセスを無意識のうちに繰り返しています。
このつながりがうまくいかないと、
「見ているのに分からない」「分かっているのにうまくできない」といった困りごとが生じやすくなります。
発達が気になるお子様に見られやすい“見る力”のつまずき
発達が気になるお子様の中には、次のような様子が見られることがあります。
- 文字を読むとすぐに疲れてしまう
- 行を飛ばして読んでしまう
- 書くと文字の大きさや間隔がばらばらになる
- ボールがうまく取れない、距離感がつかみにくい
- 周囲の刺激が多いと集中しにくい
これらは決して「やる気がない」「努力不足」ではありません。
目・脳・体の連携が、まだ発達の途中段階にあることが背景にある場合が多いのです。
目のトレーニングで育つ力
目のトレーニングを通して、次のような力が少しずつ育まれていきます。
- 物を見続ける力(注視力)
- 目をスムーズに動かす力(追視・跳躍性眼球運動)
- 形・位置・距離を理解する力(空間認知)
- 見た情報をもとに体を動かす力(目と体の協応)
- 集中して取り組む力
これらは、
学習・運動・日常生活すべての土台となる大切な力です。
トレーニングは「楽しく・無理なく」が基本です
「トレーニング」と聞くと、
「難しそう」「特別な訓練をするのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際の支援では、
- 遊びの中で
- 体を動かしながら
- お子様一人ひとりの発達段階に合わせて
無理なく進めていくことを大切にしています。
「できた!」「楽しい!」という成功体験を積み重ねることが、
見る力だけでなく、お子様の自己肯定感や意欲にもつながっていきます。
ご家庭で知っておいていただきたいこと
目のトレーニングは、短期間で劇的な変化が現れるものではありません。
日々の経験を積み重ねる中で、
- 前より集中できる時間が少し伸びた
- 苦手だった活動に挑戦する姿が見られるようになった
といった小さな変化が、やがて大きな成長へとつながっていきます。
大切なのは、
「できないところ」ではなく、
今まさに育っている途中の力に目を向けることです。
最後に
見る力は、生まれつき決まっているものではなく、
日々の遊びや経験、周囲との関わりの中で育っていく力です。
私たちは、目のトレーニングを通して、
お子様が
「分かる」「できる」「楽しい」
と感じられる体験を増やし、
自信につなげていきたいと考えています。
気になることやご不安な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
お子様の成長を、保護者の皆さまと一緒に見守っていけたらと思います。


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