チック症について

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チックとは?

チックとは、突然、速く、反復的に繰り返される運動や発声のことをいいます。まばたき、肩すくめ、手足の曲げ伸ばしなど身体の動きのチックを「運動チック」、咳払い、鼻ならし、うなりなどの発声に関するチックを「音声チック」といいます。さらにその動作が1秒にも満たないほど短い場合は「単純性運動チック(または単純性音声チック)」、数秒間続く場合は「複雑性運動チック(または複雑性音声チック)」と分類されます。


チック症は心との関係があると考えられており、決して稀な疾患ではありません。


一般には幼児期(3~4歳)から始まり、学童期(7~8歳)に特に多く症状がみられます。しかしこれは、大人になるにつれて自然に治癒する傾向があります。


チック症の要因は、厳密に特定されていませんが、身体的要因と環境的要因の両方が影響していることが分かっています。チック症のある人は、ADHD(注意欠如多動症)と強迫性障害といった障害と合併しているケースも少なくありません。
チック症は、一般の小児科や心療内科で診察・治療を受けることができます。


軽度の場合、できるだけ身体や心理的なストレスを減らす環境を整え、親へのカウンセリングが重要となります。
重度の場合、薬物療法が有効となり、ハロペリドールやリスペリドンなどの向精神薬が挙げられます。

チック症の症状

チック症の症状はまばたきや首振りなど一見癖のように見える行為もありますが、癖ではない精神疾患であるため、一人ひとりに合った治療や支援をおこなうことが重要です。

「チック症かな?」と思われる、気になる症状がある場合は、以下のような点に注意してみてください。

・症状の出現をやめるよう、いたずらに叱責して注意を促すこと

・チック症を引き起こす緊張状態や不安を軽減すること

・全身発散など気を紛らわせること

・精神的抵抗力を高めること

チック症の多くはごく稀に重症なチックが続いたり成人後に再発したりすることがありますが、一般的には一過性の精神疾患であり、成人期初めまでに症状が改善することが大半です。チック症は癖や悪ふざけと誤解され、つらい経験をされる方も多くいらっしゃいます。そのためチック症のある方が日常生活を円滑に行えるようになるためには、本人はもちろん周囲も正しい理解を身につけ、なによりも周囲の協力を得ることが不可欠です。家族および周囲の人に症状を説明し、理解を求めましょう。

診断

チック症にはさまざまな症状があることを先程解説しましたが、その程度も人によって差があります。そのため、チック症だからといって、必ずしも病院を受診しなければいけない訳ではありません。生活に支障がなく、症状による辛さも少ないのであれば、症状と向き合いながら生活するという選択肢もあります。ただ、生活や仕事などに支障が出たり、気持ち的にもつらい場合は、一度専門医の元を訪ねることをおすすめします。

一般的に、チック症は子どもが発症するケースが多く、その場合の治療先は主に小児科や小児神経科、児童精神科などになります。年齢制限を設けているところもあるので、受診前に、一度電話で確認する方がよいでしょう。
一方、大人のチック症の場合は、心療内科や精神科で診察を受けられます。加えて、精神神経科や神経内科のある医療機関であれば、より治療を受けやすくなる可能性があります。

治療方法

大人のチック症の治療方法は?
チック症の治療方法は、一人ひとりの症状の程度や併発症の程度によって決められます。
症状の重症度に関係なく、最初におこなうのは、「心理教育」と「環境調整」です。
ほかには、症状や程度にあわせて「認知行動療法」をおこなったり、場合によっては「薬物療法」をおこなうこともあります。

心理教育
チック症のある方をはじめ、家族や職場の同僚や上司など、周りの人にチック症のことを正しく理解してもらいましょう。

環境調整
チック症そのものの治療ではなく、症状の悪循環が起きないように、周囲の環境を整え、工夫します。チック症のある方は、医師や臨床心理士によるカウンセリングや認知療法などによって、ストレスを減らす工夫をおこないます。周囲の人へは、チック症による行動や言動に対しての配慮・理解を求めます。

薬物療法
心理教育や環境調整だけでは解決できない、または効果が薄い場合には、薬を用いて治療をおこなうこともあります。使われる薬は、専門医と相談することになりますが、チック症だけでなく、併発する症状も含めて、どの症状に最も効果が期待できる薬を使うのか、見極めていくことになります。例えば、チック症の治療薬でよく使われる薬の一つに、抗精神病薬があります。抗精神薬は、チック症の原因の一つだと考えられているドーパミンの働きを抑える効果があります。

認知行動療法
「認知行動療法」とは、学習の法則に基づいて行動の調整を目指す「行動療法」と、認知のクセを変えることでストレスを減らすことを目指す「認知療法」を組み合わせた心理的な治療法です。

いずれの治療方法も、それだけでチック症を完治させるものではなく、症状を軽くしたり、どのように考え、行動すれば、チック症と上手く付き合いながら生活できるかを目指します。
チック症は、強迫症や注意欠如、多動性障害、睡眠障害、抑うつ傾向、怒り発作などの併存症があらわれるケースがあります。これらの併存症の症状が重い場合は、そちらの対応・治療を優先的に進めていくこともあります。周りの人に症状を伝え、理解や配慮を求めることが必要です。

まとめ

周囲の人にチック症について、理解してもらうことは大切です。その行動・言動が本人の意志とは無関係で起きてしまうことを理解してもらうことで、緊張感や不安を軽減することができるでしょう。

可能であれば、直属の上司や同僚などに症状について伝えておくことで、必要な配慮や支援を求めたりすることもしやすくなります。人によって、仕事中は不安やストレスなどの精神的な負担を感じることが多いため、チック症の症状が重くなるケースがあります。もしチック症による症状がきつく、辛さを感じた場合に、一人で落ち着ける場所を、社内や近場など可能な範囲であらかじめ決めておくとよいでしょう。

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