発達障害の方や、知的障害を有するお子さんがいる場合、成人後、社会的に生活していけるかどうか不安になることがあるかと思います。
その中でも、金瀬管理は社会で生活するうえで欠かせないスキルとなります。
この記事を読めば、今後お子さんが障害を抱えていたとしても、金銭感覚を向上させる方法を知ることができ、社会生活を円滑に営むことが出来るように準備することが出来ます。
お金の繰り上がりと繰り下がりが理解できないとどうなるか?
ではまず、お金の繰り上がりと繰り下がりを理解できない場合、どういった支障が生じるのかみてみましょう。
1. お金の管理ができなくなる
お金の繰り上がりと繰り下がりを理解できないまま、放置してしまうと、成人後にもお金の計算が出来ない為、成人後に就業して収入を得たとしても、お金の管理が出来ないことに繋がります。
その為、貯金が出来なくなる可能性が考えられ、借金を背負うことになる恐れがあります。
社会人として、親元から離れ、働きながら生活していく為には、お金の管理ができないと、仕事が仮にうまくいっていたとしても、生活の基盤を確立することが困難となる為、最悪の場合、失職する可能性も考えられます。
その為、出来れば成人になる前にある程度、この障害は改善させておいた方がよいと言えるでしょう。
2.余計な支払いが増える
お金の管理が出来なくなることに関連して、モノの価格を判断して、購入することが難しくなり、高額商品を購入してしまう可能性もあります。
その為、余計な出費が増えてしまい、その分、お金が貯まりにくくなってしまう恐れがあります。
3. 事務系の仕事に就職できない
一般事務の仕事に携わりたいと思った時に、お金の計算がどうしても必要となります。
例えば、給与計算の補助や、会社及び従業員の支払いに関して携わることになるので、お金の計算が困難な場合、一般事務の業務に就業することが難しくなってきます。
大手企業では、障害者雇用枠を定めているため、障害者の方にとってチャンスがある求人制度を設けている企業も少なくありません。
このせっかくのチャンスを逃さない為にも、できるだけ改善できる障害は、改善しておくべきだと言えます。
大人になってから認識力を改善させるのは困難
脳の発達過程において、一般的に神経細胞の成熟は、0歳~2.3歳の間に急速に進み、10代半ば~20代前半にかけて完成されていくと考えられています。
従って人間の脳は、生後20年程度をかけて発達し続けていくものと考えられています。
特に、高次脳機能に関する前頭葉の発達は、4.5歳~20歳の間に活発化し、記憶、理解、思考、情緒が成熟していく期間とされています。
この為、幼少期から青年期の脳は発達が未成熟の為、不快な気持ちを上手く表現したり、我慢したりすることが困難となっています。
生育過程の脳機能に関してみてきましたが、発達障害や知的障害の脳に関しては、この脳機能の発達に何らかの障害が発生しているとされています。
この為、脳機能の発現が活発化及び成熟化する4.5ヶ月~20歳の間に、脳機能の障害を改善させることができれば、大人になってから、支障をきたすことがほとんどなくなっていくものと考えられています。
一方で、改善させることが出来ずに、成人してしまった場合は、脳の発達が成熟してしまっていることから、障害を改善させるには、子どもの頃に比べると大幅に時間がかかってしまうと考えられています。
これらの為、子どもの段階で、数的理解力に難がある場合は、お金の繰り上がりや繰り下がりを理解する訓練をしておく必要があると言えます。
子どもの段階で改善させることが出来れば、成人後に忘れることはほとんどないと言えるので、早期からの訓練及び習得がカギとなってくると言えます。
具体的な解決方法について
お金の繰り上がりと繰り下がりが理解できない場合として、
➀数の大小が理解出来ない
➁お金の繰り上がり繰り下がりが理解出来ない
➂社会生活に関連した場合に、数の認識が出来なくなる
これらの課題が考えられます。
それぞれどのように解決していくのがいいのか見ていきましょう。
①数の大小が理解できない場合
数の大小が理解出来ない場合、どういった解決策があるのかみてみましょう。
練習の一例としては、1~300までの数字マグネットを作成し、毎日30分ひたすらホワイトボードに並べて貼っていく作業を繰り返します。
この1~300の大小を認識する訓練に慣れてきたら、次のステップに移行します。
今度は、10、20、30や、100、200、300、400、500のマグネット、1、10、100、1000のマグネットなど色々なパターンで、並べて貼っていく作業を繰り返します。扱う数字の範囲をより拡大することで、数字の大小を認識する範囲も拡大させていきます。
②お金の繰り上がり繰り下がりが理解できない場合
次に、お金の繰り上がりと繰り下がりが理解できない場合、どういった解決策があるのかみてみましょう。
内容としては、視覚的な教材や実際のお金を使った学習が有効です。
例えば、100円玉や10円玉を使いながら「10枚で100円になる」といった具体的な体験を重ねることで、概念を視覚的・体感的に理解しやすくなります。
また、数の分解・合成の練習やゲーム形式での学習を取り入れることで、楽しみながら繰り上がり・繰り下がりのルールを身につけることができます。
③社会生活に関連した場合に、数の認識が出来なくなる場合
上記の練習で能力が向上したとしても、学校などでの実際の社会生活においては、障害による影響から、習得した数の認識力をうまく発揮できない可能性があります。
その場合、環境調整や支援ツールの活用が有効です。
例えば、計算機や金額表示アプリの利用、買い物の際の視覚的支援(色分けや数字表記)を取り入れることで、負担を軽減できます。
また、教師や支援者との連携を強化し、実践的な場面での練習を重ねることも大切です。
状況に応じた柔軟なサポートを行い、自信を持って行動できる環境を整えましょう。
まとめ
これまでみてきましたように、お金の繰り上がりや繰り下がりを含めた数字に関する理解力に障害が発生している場合は、出来るだけ早期に改善しておいた方が、良いと言えます。
その為、改善を目指しつつ、改善できなかった場合も早期に想定しておくことで、子どもの将来に対して有意義な選択肢を考えてあげることが出来るようになっていくものと言えます。
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