認知特性への理解やそれを生かす学習方法を知ることは、子どもの学習環境をよりよくするために欠かせないものとなっています。しかし、そもそも認知特性について知らない、認知特性をどのように子どもの学習に生かせばよいか分からないという保護者の方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では認知特性の意味や種類別の特徴に焦点を当て、認知特性について理解を深めていきたいと思います。
認知特性は、ある程度生まれつきで決まるといわれています。認知特性は生まれながらの感覚(視覚や聴覚など)の違いによって決まるからです。視覚が優位であれば、視覚からの情報の処理が得意な特性、聴覚が優位であれば、聴覚から入る情報の処理が得意な特性となります。特に、発達障がいがある人は視覚優位もしくは聴覚優位に特化している場合が多いといわれています。
視覚優位型とは?
視覚優位型は、視覚から受け取った情報を処理できる特性です。
視覚優位を生かす学習法の1つは、板書を視覚的に分かりやすくまとめることです。重要なワードを枠で囲ったり、文章ばかりではなくイラストや図を使ったりするなど、視覚に訴えかける板書を心がけましょう。コンピュータなどのICT機器を使うことも効果的です。また、子どもと意見交換をする場合には、プリントや付箋、小さなホワイトボードなどを使用して、お互いの意見が目で見えるようにするとよいかもしれません。視覚優位を生かす学習法としては、単語カードを用いる方法があります。重要な部分は色を変えるなどして、視覚的に分かりやすくまとめることがおすすめです。
視覚認知が不得意な場合、板書の内容を正確に書き写せないことがあります。また、文字を読むことが遅く、書き写す際に時間がかかるのも視覚認知が不得意な子どもの特徴です。中には、ノートに書き写すこと自体を嫌う子どももいるでしょう。また、ノートをとる際に、升目や罫線に収まるように描くことが苦手なケースもあります。
聴覚優位型とは?
聴覚優位とは、耳から聞いた音声情報を処理できる特性のことをいいます。
聴覚優位を生かして学習する際には、新出単語や重要キーワードを繰り返し口にして伝えると効果的です。イラストを使用する場合でも、イラストの内容を口頭で説明すると、聴覚優位の特性がある子どもにとっては理解しやすい可能性があります。また、子ども自身に意見や考え、答えに至るまでのプロセスを口頭で説明させるという方法もあります。CDなどの音声教材を用いるのも効果的です。子どもが学習する際にも、リスニング教材は効果を発揮します。また、覚えたい箇所を音読して、自分の声を聞くことも、聴覚優位を生かす学習法の1つです。教師の発音やイントネーションを真似してみるのもよいかもしれません
聴覚認知が不得意な子どもは、話し手の口頭での説明・指示を理解することが苦手です。そもそも教師の話が聞けない子どももいるでしょう。また、聞いたことを理解しづらいため、話の内容をメモすることを難しく感じるケースもあります。周りが騒がしいと相手の話が聞き取れず、集中力が保てないのも、聴覚認知が不得意な子どもの特徴です。
認知特性は、感覚器官から入ってきた情報を処理する能力の特性のことです。認知特性には個人差があり、人によって得意・不得意があります。子どもの認知特性を理解し、それぞれの特徴を把握したうえで、ぜひ認知特性を生かす学習方法を実践してみてください。
コメント