感染症についての基礎知識

感染症についての基礎知識

目次

① 感染症とは

感染症とは、病原体(病気を起こす小さな生物)が体内に侵入し、増殖することでさまざまな症状を引き起こす病気の総称です。病原体はその大きさや構造の違いから、細菌・ウイルス・真菌(カビ)・寄生虫などに分類されます。

病原体が体内に侵入しても、必ずしも症状が現れるとは限りません。発症するかどうかは、

  • 病原体の感染力・病原性
  • 体の抵抗力(免疫力) この両者のバランスによって決まります。体力や免疫力が低下していると、感染しやすく、重症化するリスクも高まります。

② 感染経路

病原体が体内に侵入する経路は、大きく垂直感染水平感染の2つに分けられます。

・垂直感染

妊娠中や出産時に、母親から赤ちゃんへ病原体が感染することを指します。一般的に母子感染と呼ばれます。

代表的なものには、

  • 風疹
  • トキソプラズマ感染症
  • B型肝炎 などがあります。妊娠中の感染予防やワクチン接種は、赤ちゃんを守るうえで非常に重要です。

・水平感染

感染している人や物などの感染源から周囲に広がる感染経路で、以下の4つに分類されます。

  • 接触感染:手や物を介して感染(例:ノロウイルス)
  • 飛沫感染:咳やくしゃみのしぶきによる感染(例:インフルエンザ)
  • 空気感染:空気中に漂う病原体を吸い込むことで感染(例:結核、水痘)
  • 媒介物感染:食べ物・水・昆虫などを介して感染(例:食中毒、マラリア)

③ 細菌とは

細菌は、目で見ることのできない非常に小さな単細胞生物です。栄養源があれば、自分と同じ細胞を分裂・増殖させて増えていきます。

細菌の中には、

  • 病気を引き起こす有害な細菌
  • 人の健康や生活に役立つ有用な細菌 の両方が存在します。

例えば、納豆菌や乳酸菌は私たちの生活に欠かせない存在です。また、人の体の中や皮膚の表面には多くの細菌が常在し、腸内環境や皮膚環境を保つ役割を担っています。

一方で、ヒトに病気を起こすことがある細菌としては、

  • 大腸菌
  • 黄色ブドウ球菌
  • 結核菌 などが知られています。

④ ウイルスとは

ウイルスは細菌の約1/50ほどの大きさで、非常に小さな存在です。ウイルスは細胞を持たず、自分だけでは増殖できないという特徴があります。

ヒトの体に侵入したウイルスは、細胞の中に入り込み、細胞の仕組みを利用して自分のコピーを作らせます。その結果、細胞は破壊され、多数のウイルスが放出されて次々と別の細胞に感染していきます。

ヒトに病気を起こす代表的なウイルスには、

  • インフルエンザウイルス
  • ノロウイルス
  • コロナウイルス などがあります。一般的な**風邪(普通感冒)**も、さまざまな種類のウイルスが原因となっています。

⑤ 真菌症について

真菌症とは、病原性の真菌(カビ)によって引き起こされる感染症の総称です。病変の部位や広がりによって、以下の2つに分類されます。

  • 表在性真菌症:皮膚や粘膜など表面に限局
  • 深在性真菌症:臓器に及ぶ、または全身に広がるもの

表在性真菌症には、

  • 口腔カンジダ症
  • カンジダ膣炎
  • カンジダ皮膚炎 などが含まれ、患者数は多いものの、比較的重症度は低いとされています。

一方、深在性真菌症は主に免疫力が低下している人に発症しやすく、頻度は低いものの重篤な経過をたどることがあります。


⑥ 寄生虫について

寄生虫による感染症には、

  • 蠕虫(いわゆるムシ)
  • 原虫(顕微鏡でしか見えない単細胞生物) によるものがあり、昆虫やダニが原因となる疾患も含まれます。

代表的な疾患には、

  • アニサキス症
  • アメーバ赤痢
  • エキノコックス症
  • 疥癬
  • シラミ症
  • マラリア などがあります。

⑦ 子どもに多い感染症

子どもに多くみられる感染症には、以下のようなものがあります。

  • 咽頭結膜熱(プール熱)
  • ヘルパンギーナ
  • インフルエンザ
  • おたふくかぜ
  • 伝染性紅斑(リンゴ病)
  • 水ぼうそう
  • RSウイルス感染症
  • A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
  • 感染性胃腸炎
  • 手足口病
  • アデノウイルス感染症
  • 新型コロナウイルス感染症

感染症の予防について

これらの感染症に共通する主な予防方法は、

  • こまめな手洗い・消毒
  • マスクの着用
  • 健康的な生活習慣
  • ワクチン接種

が挙げられます。特に健康的な生活習慣は感染症予防の基本であり、

  • バランスの良い食事
  • 十分な睡眠
  • 適度な運動 は免疫力を高め、病気にかかりにくい体づくりにつながります。

また、日頃から子どもの様子をよく観察し、早期発見・早期対応を心がけることも大切です。体調が思わしくない場合は、無理をせず医療機関を受診し、適切な治療を受けることで、症状の軽減や回復の促進につなげていきましょう。

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