発達障害の子どもが運動を障害の特性が関係している
運動会は多くの子ども達にとってとても楽しいイベントのはずです。その中でも発達障害のある子どもが運動会を苦手に感じる背景には、それぞれの特性に応じた以下のような要因があります。
ADHD傾向の子どもは、じっと並んで待つことや、複雑な指示を理解して行動したりするのが苦手な傾向があります。運動会では、この特性がより顕著に現れやすいのが特徴です。
・同じことの繰り返しや長時間の待機が難しい
整列や待機時間の長さは、ADHDの子どもにとって大きなストレスがかかる場合もあります。じっと並んで待つことが難しく、周りの友達から注意されて自己肯定感が下がってしまうケースも少なくありません。また、待ち時間中の過ごし方がわからず、不安を感じる場合もあります。
・複雑な指示の理解が難しい
運動会には、複数のルールや手順が含まれる競技があります。「まず並んで、笛が鳴ったら走ってゴールを目指す」のように簡単で誰が見ても明白のルールであれば理解ができますが、複雑な指示は、ADHDの子どもにとって理解と記憶が難しいのです。
・衝動的な行動のコントロールが難しい
「競技開始の合図を待つ」「順番を守る」などは、衝動的な行動をコントロールが難しい傾向にあります。その為うまくできなかった場合「ルールを守れなかった」という失敗経験が重なり、運動会への苦手意識につながりやすくなります。
ASD傾向の子どもは、感覚の過敏性や予定の変更への不安、集団行動の難しさなど、独特の困難さを抱えています。
・感覚過敏による苦痛
応援や音楽などの大きな音、強い日差し、たくさんの人が集まることによる熱気などの運動会特有の雰囲気は、感覚の過敏性が強い子どもにとって、通常よりも感覚刺激が強く感じられる場合があります。不快な刺激が重なると、パニックを起こしてしまうケースも珍しくありません。
・スケジュール通りにならないのが苦痛
天候による日程変更や急な競技順の変更など、予定が変わることへの不安が強いのもASD傾向の子どもの特徴です。事前に決められていた流れが変わると、大きなストレスを感じる場合があります。
・集団行動が難しい
集団での動きやチームの協力が求められる競技は、ASD傾向の子どもにとって特に難しく感じられることがあります。他の子どもたちと同じペースで動くことや、暗黙のルールを理解することに困難を感じやすいのです。
発達障害の子どもが運動会を乗り切るためには
・運動会当日の流れを視覚的に示す
運動会のプログラムを写真やイラストを使って、タイムスケジュール表を作成するのも有効です。流れを視覚的に示すことで「次は何が始まるか」の不安を軽減できます。
また、練習時の様子を動画で撮影して自宅で繰り返し見ることができると当日の動きをイメージしやすくなるでしょう。
・必要に応じて休憩できる場所を確保する
運動会は長時間に及ぶため、必要に応じて休憩できる場所を確保しておくのも大切です。騒がしい校庭から適度に距離があり静かで落ち着ける、保健室や特別支援教室、車の中など、子どもが安心できる場所を複数用意しておくと良いでしょう。また、休憩場所では、お気に入りのおもちゃや本など、気持ちを落ち着かせるためのアイテムを用意しておくことも必要です。
・苦手な競技は参加方法を工夫する
特に発達障害の子どもは運動の得意・不得意が顕著に出ることがありますので無理のない範囲で参加することも1つです。例えば、玉入れが苦手な場合は、周りに転がってしまった玉を集める担当を担うこともできます。また、団体競技では、子どもが安心して取り組める簡単な役割からスモールステップで段階を踏んであげることも効果的です。
・できたことを具体的に褒める
発達障害のある子どもは失敗した経験が頭に残りやすいため、できたことは具体的にどんどん褒めることが有効的です。「よく頑張ったね」と抽象的な褒め方より「最後まで走ることができたね」「玉入れの時の応援の声よく声が出ていたね」など、具体的な行動を端的に言葉にして伝えることで、子ども自身が何ができたのかを理解しやすくなります。
また、競技の結果だけではなく、準備や練習の過程での努力も積極的に褒めましょう。
まとめ 運動会への参加はひとりひとりに合った形で
発達障害のある子どもにとって、運動会は大きな挑戦と呼べる行事かもしれません。普段の体育の授業とは環境が大きく異なり、大勢の人に見られながら行うことは大きなストレスを感じるイベントです。そんなイベントを楽しいものにする為にも大切なのは、練習から本番までのすべて参加を目指すのではなく、子どもなりの参加の形を見つけることです。できないことを責めるのではなく、少しずつ増えていく「できること」に目を向けていきましょう。運動会は、子どもの成長を見守り、新しい可能性を見つける機会にもなるはずです。

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