思春期の中高生と放課後等デイサービス―「子ども扱いしない支援」が求められる時期に―

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思春期の中高生と放課後等デイサービス

――「子ども扱いしない支援」が求められる時期に

中学生・高校生になると、子どもたちは大きな心身の変化を迎えます。体の成長だけでなく、自分の考えを持ち始め、周囲との違いに気づき、「自分とは何者なのか」を模索し始める時期です。放課後等デイサービス(以下、放デイ)を利用している中高生にとって、この思春期は特に複雑で、周囲から理解されにくい葛藤の時期でもあります。

小学生の頃は「支援が必要な子」「守られる存在」として関わられてきた子どもたちも、中高生になると周囲から「もう分かる年齢」「できて当然」という目を向けられがちになります。しかし、年齢が上がったからといって、特性や困りごとが消えるわけではありません。むしろ、自分と周囲の差を客観的に認識できるようになる分、悩みや不安は、より深く、内面的なものへと変化していくのです。


揺れる心の中にある「二つの気持ち」

思春期の中高生が抱える最大の特徴は、「自立心」と「依存心」という相反する感情の共存です。「わかってほしい」「認めてほしい」という切実な思いがある一方で、「干渉されたくない」「子ども扱いされたくない」という強い拒絶感も抱きます。

放デイの現場でも、以下のような変化が見られることがあります。

  • 今まで参加していた活動に急に参加しなくなる
  • 注意されると過剰に反発したり、無視をしたりする
  • 部屋の隅で無言で過ごす時間が増える
  • 感情の起伏が激しくなり、不安定になる

こうした姿は、決して「わがまま」や「問題行動」ではありません。自分の立場や価値を必死にもがいて探している途中の姿なのです。特に特性のある中高生は、この混沌とした気持ちを言葉で整理することが難しく、行動や態度でしかSOSを表現できない場合が多くあります。


放デイは「評価されない居場所」であること

中高生にとって、学校は成績や進路、友人関係など、常に「評価」にさらされる場です。家庭でも「将来どうする?」「卒業後は?」と現実的な話題が増え、心が休まらないこともあります。そんな中で、放デイが果たす役割は極めて重要です。

放デイは、以下のような**「評価から解放された空間」**であるべきです。

  • うまくできなくても否定されない
  • 失敗しても居場所を失わない
  • 他人と比べられない

こうした安心感があって初めて、中高生の心は支えられます。思春期の子どもたちは、表に出さなくても「できない自分」「周りと違う自分」を強く意識し、傷ついています。だからこそ、放デイでは結果よりも「過程」を大切にし、彼らが「やろうとしたこと」「考えたこと」そのものに光を当てる関わりが求められます。


「管理」から「対話」へ、支援の視点を変える

中高生への支援では、小学生を対象とした「導く」関わり方は通用しなくなります。指示やルールで動かす**「管理型の支援」から、本人を一人の大人として尊重し、一緒に考える「対話型の支援」**へと視点を切り替える必要があります。

  • 指示ではなく問いかけ: 「これをやりなさい」ではなく、「どうしたい?」「どう思う?」
  • 否定ではなく共感: 「ダメでしょ」ではなく、「何が一番しんどかった?」「何が嫌だったかな?」

こうした問いかけには、すぐに答えが返ってこないこともあります。それでも、「あなたの意見を尊重したい」という姿勢で対話を重ねることで、子どもは少しずつ自分の気持ちを整理し、自分の言葉を持てるようになります。中高生は、大人の姿勢を驚くほど敏感に感じ取ります。対等に向き合っているかどうかは、言葉以上に「聴く態度」で伝わるのです。


将来を見据える時期だからこそ「今」を焦らない

中高生になると、「進学」「就職」「自立」といった現実的なテーマを避けては通れません。放デイでも、学習支援や就労を意識したスキルアップの取り組みが増えていきます。しかし、将来を急ぐあまり「今できないこと」の克服ばかりに目を向けると、子どもの自己肯定感は失われてしまいます。

大切なのは、**「今できていることを将来につなげる」**視点です。

  • 人と関わろうと場に居続けること
  • 時間を守ろうと努力すること
  • 苦手なことがあっても、その場にいられること

これらは一見目立たない力ですが、社会で生きていく上で欠かせない「根っこ」となる力です。将来の自立とは、何でも一人でできることではなく、**「自分の弱さを知り、適切に助けを求められること」**でもあります。


おわりに ― 放デイは思春期の「人生の練習場所」

中高生の思春期は、大人にとって関わりづらく、正解が見えにくい時期です。しかし、子どもたちはその揺らぎの中で、必死に「自分の生き方」を探しています。

放課後等デイサービスは、失敗しても戻ってこられる場所、感情が乱れてもそのままを受け止めてもらえる場所でありたいものです。正解を教え込む場ではなく、一緒に悩み、一緒に考える伴走者として存在することが、この時期の支援の本質です。

思春期に「自分はそのままの姿で受け止められた」と感じられた経験は、その子の人生を長く、深く支える土台になります。中高生の放デイ支援は難しさもありますが、一人の人間のアイデンティティ形成に立ち会える、非常に大きな意味と価値を持つ支援なのです。


次に、中高生向けの具体的なプログラム例(「自分のトリセツ作り」や「余暇の過ごし方の開拓」など)をいくつかご提案しましょうか?

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