◆はじめに
放課後等デイサービスで子どもたちと過ごしていると、日常の中で「できた!」という小さな成功体験に出会うことがあります。
それは、大人から見れば些細なことかもしれません。しかし子どもにとっては大きな一歩であり、自己肯定感を育み、次の挑戦につながる大切な瞬間です。今回は、現場で見られるエピソードや支援の工夫をご紹介しながら、「できた!」を積み重ねる意味を考えてみたいと思います。
◆「できた!」の瞬間のエピソード
1. 靴を自分で揃えられた
ある低学年の男の子は、帰ってきたら靴を脱ぎっぱなしにしてしまうことが多くありました。
スタッフが「一緒に揃えてみよう」と声をかけ、何度も繰り返すうちに、ある日、自分から靴をきれいに揃えることができました。その瞬間の誇らしげな表情は、まさに「できた!」の証でした。
👉 支援の工夫:
- 声かけを「ダメ出し」ではなく「一緒にやろう」という形にする
- 成功したら「すごいね、きれいに揃えられたね」とすぐにフィードバック
2. 苦手な野菜をひと口食べられた
調理活動の時間、野菜が苦手でいつも食べられない子がいました。
「無理しなくてもいいよ」と伝えながら、他の子どもと一緒に楽しそうに準備を進めていると、最後に自分から「ちょっとだけ食べてみる」と挑戦。小さな一口を食べられたとき、周りのみんなが「すごい!」と拍手しました。
👉 支援の工夫:
- 「食べなきゃダメ」ではなく「挑戦してみよう」の雰囲気づくり
- グループで達成を共有し、仲間からの承認を得られるようにする
3. 自分の気持ちを言葉で伝えられた
ある子は気持ちを表現するのが苦手で、嫌なことがあると泣いたり黙り込んだりしてしまうことが多くありました。
スタッフが絵カードや感情カードを活用しながら支援していくうちに、ある日「今日は疲れたから休みたい」と自分の言葉で伝えることができました。
👉 支援の工夫:
- 視覚支援を活用し、感情を表すツールを日常に取り入れる
- 言葉にできた瞬間は「伝えられて助かったよ」と周囲が受け止める
◆「できた!」を積み重ねる意味
子どもたちにとって、成功体験は自己肯定感を育む土台です。
- 小さな成功が「次もやってみよう」という意欲につながる
- 自信を持つことで友達や大人との関係が安定する
- 日常生活の中で自立に近づいていく
私たち大人が見落としそうな一歩を丁寧に見守り、共に喜ぶことが、子どもの成長を支える力になります。
◆保護者へのメッセージ
「できた!」の瞬間は、家庭でもたくさん生まれます。
- 自分で服を着られた
- 学校の準備を少し手伝えた
- 苦手なことに挑戦できた
大切なのは「結果の大きさ」ではなく「挑戦したこと」自体を認めてあげることです。
ぜひ、ご家庭でもお子さんの小さな「できた!」を見つけ、声に出して伝えてみてください。その積み重ねが、子どもの未来につながっていきます。
◆おわりに
放課後等デイサービスは、子どもたちの「できた!」を一緒に見つけ、育んでいく場です。私たち支援者も、保護者の皆さまと共にその瞬間を喜び合いながら、子どもたちの成長を支えていきたいと願っています。
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