発達障害とは(ASDについて)
ASDとは? どういったものなのか解説させていただきます。
ASDとは? 自閉スペクトラム症について
「発達障害」の1つである「ASD(自閉スペクトラム症)」は先天的な脳機能障害であり、いわゆる「自閉症」や「AS(アスペルガー症候群)」もこのカテゴリの中に含まれます。
「ASD」は ”Autism Spectrum Disorder ” の略で、日本語では「自閉スペクトラム症」「自閉症スペクトラム」「自閉症スペクトラム障害」などと訳され、文脈によって使い分けられることもあります。
※本記事ではASDと表記します。
ASDの人は、学校や職場など社会の様々な場面で人とのコミュニケーションや関わりに難しさが生じることが多くあります。また興味や関心が狭い範囲に限られやすく、独特のこだわり行動や振る舞いが見られることもあります。
他にも五感などの感覚が人よりとても敏感に感じたり、逆にほとんど感じない分野がある人もいます。
基本的に生涯これらの特性を持ち続けますが、大人になり求められる行動基準が高くなってから初めて困難さが明らかになることもあります。
ASDのお子様の苦手なこと
ASDのあるお子様の苦手なことについて、詳しく説明していきます。
①対人関係やコミュニケーションが苦手
ASDのお子さんには幼稚園・保育園や学校などの集団生活になじめない人が少なくありません。授業や行事で一斉に同じ活動をしたり、クラスの中で他のお子さんと適切な距離感を取りながら付き合うのが苦手な人が多いです。
理由としては、自分の言いたいことが表現できない、相手の言っている意味がつかめない、遊びのルールが分からず参加できない、といったことが考えられます。
他にも、こだわりが強いことで自分のルールで遊びたい気持ちが強く、他の子どもと一緒に遊ぶ機会が少なくなり、「協調性がない」と思われてしまう場合もあります。
②臨機応変な対応が苦手
ASDのある子どもは、急に予定が変わると混乱してしまうなど、臨機応変な対応が苦手ともいわれています。
理由として考えられることは、特定の順番にこだわりがありそれが乱れることが大きなストレスとなることや、見通しを立てることが得意でないため一度立てた予定が崩れると再度見通しを立てることが難しい、などが挙げられます。
③あいまいな指示の理解が苦手
ASDのある子どもは、「ちょっとだけ」「もう少し早く」などのあいまいな表現が苦手といわれています。
また、相手の気持ちを想像したり表情などから意図をくみ取ることも苦手なことが多く、大人から指示を受けたときに、理解がしづらく上手く動けないといったことがあります。
逆に、短く具体的な表現だと理解がしやすいため、子どももそういった表現を使うことが多いといわれています。
④刺激の多い場所が苦手
ASDのある子どもの中には、視覚過敏、聴覚過敏などの感覚過敏があり、刺激の多い場所が苦手という場合もあります。
例えば視覚過敏のある子どもは、太陽の光が目に痛い、人混みなど情報量が多い場所では疲れやすくなるといった特徴があります。聴覚過敏のある子どもは、急な音にびっくりする、特定の音が耳に痛い、などの特徴があります。
苦手なことへの対応方法
ASDのある子どもの苦手なことを紹介してきました。こういった苦手は子どもの努力不足ではなく、本人も苦しい思いをしています。
苦手を無理に克服しようとするのではなく、ASDの特性や子どもの性格、周りの環境も考慮したうえで、適切に対応していくことが大事です。
① 対人関係やコミュニケーションの苦手への対応方法
子どもが理解しやすい方法で伝えることや成功体験を増やしていくことが挙げられます。
例えば、会話するときは具体的に短い言葉で一つずつ伝える、遊びのルールは絵など視覚化して伝えると理解しやすく対人関係の苦手意識も軽減できます。
また、大人が子どもの興味に合わせて話しかける、言葉の遅れや独特の表現を理解して会話を続けるといった対応を取ることで、子どもの会話自体の成功体験を増やしていくことも大事です。
ほかにも、SST(ソーシャルスキルトレーニング)といった、対人関係のプログラムを受けることも方法の一つです。
② 臨機応変な対応が苦手への対応方法
変更点をなるべく見通しが立ちやすい方法で伝えるといった対応方法があります。
伝える際は時計やカレンダーなどの絵を使って視覚的に分かりやすくすることで、理解しやすくなる子どももいます。言葉で伝えるときは、一度にまとめて言うのではなく、端的に一つずつ伝えるといいでしょう。
③ あいまいな指示の理解が苦手への対応方法
あいまいな表現が苦手な場合は、具体的に伝えることが大事です。
「少し」などのあいまいな言葉は使わずに、端的な言葉で一つずつ伝えたり、「5分たったら」「気温が20度以上だったら」など分かりやすい単位で示したりするのもいいでしょう。多くの表現を使わずに、使用する言葉を統一することで、混乱を減らせるかもしれません。
その他にも、絵カードを使うなど言葉以外の手段で伝える方法もあります。
④ 刺激の多い場所が苦手への対応方法
感覚過敏がある子どもは、どのような刺激が苦手かを把握して対応することが大事です。
視覚過敏があって眩しい光が苦手な場合は、家の電球の明るさを調整する、外に出る際は帽子や子ども用のサングラスを着用するなどの方法があります。
また、お気に入りのタオルなど安心するものをもっておくことや、辛くなった時に備えて安全な場所を確保していくといった方法もあります。
まとめ
ASDのあるお子様の苦手への対応は、家庭だけでは難しい場合もあります。
お困り事に合わせて園や学校に合理的配慮を求めたり、障害のあるお子様の学級である「特別支援学級」や、通常の学級に在籍しながら一部の授業を別に受ける「通級指導教室」を活用したりすることもできます。
発達障害など発達が気になるお子様が日常生活や集団生活に適応できるように、さまざまな支援を提供する福祉サービスである児童発達支援や放課後等デイサービスを利用することもできます。
ご家庭だけで抱えるのではなく、支援センターや医療機関など様々な相談窓口を活用していくといいかと思います。
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[…] ASDについてはこちらの記事で解説しています。 […]