個別療育と集団療育の違いってなに? どんなプログラムなのか?

子どもへの療育方法には、大きく分けて「個別療育」「集団療育」があります。

療育を検討する際に、どちらの方が良いのだろうかと考える方もいるのではないでしょうか。
この2つの療育方法はそれぞれ特徴が異なります。

今回はそれぞれの違いを解説していきますので、療育内容を選択する際にぜひ参考にしていただけたら幸いです。

目次

個別療育とは?

〇個別療育とは
 子ども一人ひとりの発達段階に合わせたプログラムを実施する療育方法です。よりニーズに合った支援を受けることができます。プログラムの内容は子どもの発達能力や年齢によって様々です。子どもの状況に合わせて、取り組みやすいプログラムを行うため、成功体験を多く実感できます。

 個別療育では、子どもの成長段階に応じてプログラムを変更し、随時適切な療育プログラムを提供することが可能です。子どもの成長を最大限に促すことができるでしょう。

対象:各子どもの特定のニーズに対応します。
内容:子どもの発達段階や特性に合わせた個別のプログラムや指導を行います。
目的:子どもの特定の課題に焦点を当て、個別の目標達成を支援します。
アプローチ:セラピストや専門家と一対一で行うことが多く、個別の指導計画(IEP)に基づいて進行します。

《メリット》
・子どもに合ったペースで進めることができ、特定の課題に集中的に取り組むことができます。
・子どものニーズや特性に合わせたプログラムを受けることができる
・成長段階に合わせて、随時適切なアプローチが可能
・成功体験をより多く実感できる

《デメリット》
・集団行動が身につきにくい
・社会性や対人スキルを学ぶ機会が少ない
・他の子を真似て学ぶ機会があまりない

個別療育のプログラム例

対象内容
言語療法
 (Speech Therapy)
言語発達に遅れがある子ども発音、語彙の増加、文法の理解、コミュニケーションスキルの向上を目指す練習
作業療法
 (Occupational Therapy)
微細運動や日常生活動作に困難がある子ども手先の器用さを高める活動、衣服の着脱や食事などの日常生活動作の練習
感覚統合療法
 (Sensory Integration Therapy)
感覚処理の問題がある子ども感覚刺激を通じて脳の感覚処理能力を高める活動(ブランコ、バランスボードなど)
行動療法
 (Behavioral Therapy)
行動上の問題を抱える子ども内容: 正しい行動の強化と不適切な行動の減少を目的としたプログラム(ABA療法など)
認知療法
 (Cognitive Therapy)
認知発達に課題がある子ども記憶力、注意力、問題解決能力の向上を図るトレーニング
ソーシャルスキルトレーニング
 (Social Skills Training)
社会的なスキルに課題がある子ども挨拶や会話の仕方、友達との付き合い方、社会的なルールの理解と実践
学習支援
 (Educational Support)
学習に困難がある子ども
学校の宿題や授業内容の理解を支援する個別指導
心理療法
 (Psychotherapy)
精神的な問題やストレスを抱える子ども子どもの心理的な問題に対処するためのカウンセリングやプレイセラピー

これらのプログラムは、子どもの特性やニーズに合わせてカスタマイズされることが多く、専門家が個別療育計画を立てて実施します。

集団療育とは?

〇集団療育とは
 複数の子どもたちが一緒にプログラムを行う療育です。集団の中でいろいろな子どもたちとの関りを経て、社会性を学ぶことができます。集団に合わせて行動する力や、感情のコントロールなど学校生活にも必要なソーシャルスキルやコミュニケーション能力の向上が期待できます。集団療育では、他の子たちと一緒に遊んだりプログラムを取り組んだりする中で、ルールを学び、社会性を身につけるための様々な経験を積むことができます。また競争や共同作業を通じて、心身を成長させる機会も多くあります。

対象:複数の子どもたちが一緒に参加します。
内容:グループでの活動を通じて、社会性の向上やコミュニケーションスキルの発達を目指します。
目的:子どもたちが集団の中での役割や協力の仕方を学ぶこと、社会的なスキルを身につけることを支援します。
アプローチ:グループセッション、共同作業、ゲームなどを通じて進行します。

《メリット》
・他の子どもたちとの相互作用を通じて、社会的なスキルや協調性を育むことができます。・集団に合わせて行動する力が身につく
・集団生活でのルールを学ぶ
・対人スキル、コミュニケーション能力の向上

《デメリット》
・集団行動に強いストレスを感じる子どもには苦手意識が強くなってしまう可能性がある
・個別療育よりも子ども一人ひとりに細かなところまで目が届かない恐れがある
・集団でのプログラムが決まっているため、体調や気分によっては取り組めず終わってしまうこともある

集団療育のプログラム例

集団療育では、子どもたちがグループで活動し、社会的なスキルや協調性を育むことを目的とした多様なプログラムが提供されます。以下はいくつかの一般的なプログラム例です。

対象内容
ソーシャルスキルトレーニング (Social Skills Training)社会的なスキルに課題がある子ども挨拶や会話の仕方、友達との付き合い方、チームワーク、社会的なルールの理解と実践
グループゲーム
(Group Games)
すべての子どもチーム対抗のスポーツやボードゲームなどを通じて、協力や競争の楽しさを学ぶ
工作・アート
(Arts and Crafts)
すべての子どもグループでの共同制作活動を通じて、創造力と協力の大切さを学ぶ
音楽療法
(Music Therapy)
すべての子どもグループでの歌唱や楽器演奏を通じて、リズム感や協調性を養う
 劇遊び
(Drama Activities)
すべての子ども役割演技や即興劇を通じて、表現力やコミュニケーション能力を高める
読み聞かせ・ストーリーテリング
(Storytelling)
すべての子ども物語の読み聞かせやストーリーテリングを通じて、リスニングスキルと想像力を育む
ピアグループ
(Peer Groups)
同じ年齢や発達段階の子ども
同年代の子どもたちとの交流を通じて、相互理解や共感を深める
環境学習
(Environmental Learning)
すべての子ども自然観察や環境保護活動を通じて、自然との触れ合いとチームワークを学ぶ
運動療法
(Physical Activities)
すべての子どもグループでの運動やスポーツ活動を通じて、体力向上と協力の大切さを学ぶ
クッキングクラス
(Cooking Classes)
すべての子どもグループで料理を作る活動を通じて、協力や達成感を味わう


これらのプログラムは、子どもたちが互いに学び合い、支え合う環境を提供し、社会的なスキルや協調性を育むことを目的としています。

まとめ

〇どちらの療育が適切か
 個別療育と集団療育について説明してきましたが、どちらの療育方法においても、メリット・デメリットがあります。子どもにとってどちらが良いのかは、子どもそれぞれの状況によって異なります。子どもの特徴、何が得意で何が苦手かを考え分析し、その子どもに合った療育プログラムを受けることが大切です。
 どちらのアプローチも併用することで、子どもたちの多面的な成長を支援することができます。
両者は補完的な関係にあり、放課後等デイサービスでは子どものニーズに応じて柔軟に組み合わせることが重要です。
もし最初に選んだ療育が合っていないなと感じた場合でも、あとから変更することは可能です。また、一度決めた支援方針が状況によって変わることもあるでしょう。悩んだ場合には、利用を検討している事業所や専門機関に相談してみてください。

〇療育施設を実際に体験しよう
 療育施設によって、療育プログラムや特徴は様々です。プログラム内容も大切ですが、何より子ども自身が楽しく通うことができる施設を選ぶことがとても重要です。楽しく通える環境だと、自ずとモチベーションも上がり、多くの成功体験から本人の自信に繋がっていきます。どのような療育プログラムか、子どもの特徴に合っているか、実際に体験しなければ分からないことも多いと思います。ほとんどの施設では無料で体験を行っておりますので、利用を検討している際にはまずは体験をしてみてください。実際に体験をしたうえで、専門家のアドバイスを参考にするのも良いでしょう。そして療育プログラムが子どもに合っているかを考慮しつつ、子ども自身が楽しんで通える環境を選んであげるのが良いのではないでしょうか。

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