乳幼児期の微細運動の発達について

微細運動とは、手指の細かい動きのことで、身の回りのことをするために必要な動きです。微細運動の発達を促すためにできることはどんなことなのでしょうか。

目次

微細運動の成長段階について

新生児期にみられる原始反射に手に触れたものをにぎるという動作がありますが、これは成長と共に見られなくなります。微細運動の成長段階は以下の通りです。

① 両手を合わせられるようになる
赤ちゃんにとっていちばん身近にある目の前で動くものといえば、自分の手。肩関節から先を動かすことができるようになる2ヶ月ごろから、両方の手を合わせてさわることができるようになります。

② にぎることができるようになる 
生後3ヶ月ごろから手に近づけてあげればにぎっていられるようになります。ただ、このあと自分でさわろうとしたりするのは、興味があるものに手を伸ばすようになる3~4ヶ月ごろからです。また、肘関節が動かせるようになる4ヶ月ごろから、手のひらでものをにぎれるようになります。

③ 持ったものを別の手に持ち替える 
手のひらでにぎったものを、もう一方の手に持ち替えることができるようになっていきます。また、生後8ヶ月ごろからは、両手につみきなどを持ち、持ったものをカチカチと打ち合わせたりすることができるようになっていきます。両方の手の動きを連携させることができるようになるのです。

④ 指でものをつまむ 
自分の意思で動かせる範囲が、かなり末端まで広がっていきます。指の関節が動かせるようになり、こまかいものをつまむことができるようになります。

⑤ 節から指の関節までを組み合わせた動きが自在になる
1歳を過ぎるころから、手に持ったものを、目的をもって動かす動作ができるようになっていきます。スプーンやフォークを握って、口がある場所に持っていき、道具の先端にある食べ物を口にこぼさずに入れるという一連の動作は、分解してみるとかなり複雑な動きであることが分かります。また「こうしたい」という心の発達もともなう動作でもあります。こうして体幹からだんだん末端へと、自在に動かせる範囲が広がります。

「書く」動作の発達

「書く」動作の発達
道具を使う手指の動きには、筆記用具を使って「書く」という動作があります。この動きも体の中心に近いところから末端の手指の関節へと、運動神経が伝わっていくことで、こまかい動作ができるようになります。

また、手の動きだけでなく、筆記用具の握り方も成長します。0~1歳の前半ごろは、「にぎり持ち」、指を使わず手のひらを使って筆記用具をもちます。このころは、柄が太く短いクレヨンなどの筆記用具が使えます。だんだんに、柄が細く、握ったところから遠いペン先で書くようになっていきます。握り方も成長します。人差し指と親指で筆記用具を持ち、その他の指で支えるようになり、複雑な線を描けるようになっていきます。

その他の微細運動
ほかにも、ビーズにひもを通す、ハサミを使う、ボタンをかける(3歳ごろ)、ふたを開ける(5歳ごろ)、ひもを結ぶ(6歳ごろ)などといった細かい動作がたくさんあります。

動きの向上にはトレーニングすることが大切!

なお、生活に必要な動きのみではなく、手芸や工作などさらに精密な動きをするようになっていくためには、「こういうものをつくりたい」という心の発達が必要であり、どんな人でもトレーニングが必要です。立つ、歩くといった粗大運動とは少し違い、自然にできるようになるものではありません。
そこで「感覚統合療法」というトレーニングを紹介します。

感覚統合療法は、「作業療法士の観点から」脳の感覚処理機能を改善することを目的としたプログラムです。このプログラムは、特に子どもたちの感覚統合機能を促進し、日常生活での困りごとを軽減することに焦点を当てています。感覚統合とは、視覚、聴覚、触覚などの異なる感覚情報を脳が整理し、適切に反応する能力のこと。この能力がうまく働かないと、日常生活においてさまざまな困りごとが生じることがあります。感覚統合療法は、これらの困りごとを軽減し、子どもたちがより快適に日常を過ごせるよう支援することを目指しています。

感覚統合療法のポイント

感覚の処理の問題: ある人は音や触覚に敏感すぎたり、逆に鈍感すぎたりします。これが日常生活に影響を与えることがあります。
目的: 感覚の処理がうまくできるようにすることで、行動や情緒の安定を図り、生活スキルを向上させることを目指します。
具体的な活動: ブランコに乗ったり、バランスを取る運動をしたり、感触の異なる物に触れるなど、感覚刺激を使った遊びや運動が中心です。
専門家によるサポート: 作業療法士や理学療法士が子どもの感覚ニーズに合わせたプログラムを提供し、繰り返しの経験を通じて感覚の統合を助けます。
感覚統合療法は、個々の感覚の特性や困難に応じた個別のプランを通じて、楽しみながら能力を伸ばすことを重視しています。

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