広汎性発達障害について
広汎性発達障害(PDD:pervasive developmental disorders)とは、自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害をふくむ総称です。
広汎性発達障害は、基本的に次の3つの障害特性を持ち、生活上の広汎な領域に障害が現れ、特性の強弱・程度は、一人一人異なります。
知的障害がない場合、高機能自閉症と呼ばれたり、言葉の遅れが目立たない場合、アスペルガー症候群と呼ばれることもありますが、いずれも広汎性発達障害に含まれます。
なお、近年、診断基準の改定によりDSM-5(米国医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル)を利用する医療機関では、自閉スペクトラム症(ASD)という診断名が用いられるようになってきています。
・周りの人に関心を示さない、逆に人との関わりを積極的に求めるが一方的になってしまうなど、相互的な対人関係を築くことが難しい。
・場の空気が読めないなど、周囲の状況を理解し、その場にあった言動をとることが難しい。
・悪気がなく相手の気分を害することを言ってトラブルになったり、孤立してしまったりするなど、相手の気持ちや、立場を理解することが難しい。
・幼児期に、言葉の遅れがある、独り言が多い、意味のない言葉を繰り返す、オウム返しがある。
・語いが多く、よく話す人もいるが、言葉の意味を正しく理解していない。
・ことばを字義どおりに解釈して冗談・比ゆ等が通じない、あいまい・抽象的な表現が理できないなど、言葉での意思のやりとりが難しい。
・表情や身振りで、相手の意思や感情を理解したり、自分の意思を伝えたりすることが難しい。
・先を見通すことができず不安なため、いつもどおりや、自分なりに決めた方法・順序等にこだわる。
・初めての場所が苦手であったり、突然の予定変更にパニックを起こしたりする。
・幼児期に、おもちゃ等で独特の遊び方をする。例:回転する物(扇風機、換気扇等)に強い関心を示し、おもちゃの車でも、タイヤをぐるぐる回転させ、じっと眺めている。
・興味のあることにこだわり、異常なほど熱中する。
・ある行動を終わりにして、次の行動へ切り替えることがなかなかできない。
・過去のいじめ等、嫌な体験を現在のことのように思い出して、気持ちが不安定になる。
・雷鳴等、突然の大きな音を異常に怖がる。
・人が大勢いて騒がしい中では、相手の話を聞き分けることができない、その場にいられないほど不快になる。
・食べ物の好き嫌いが激しい。
・特定の臭い、光が苦手。
・寒暖の変化に気づきにくく、服装の調節をしない。
・体を触られるのを極端に嫌う。
・ボール遊びや縄跳び等、運動が苦手。
・体の動きがぎこちなく、転倒したり、手足をドアや家具等にぶつけたりすることが多い。
・ハサミを使うのが苦手など、手先が不器用。
まとめ
発達障害に関しては、住まいの自治体にある発達支援センターという専門機関に相談するのがよいでしょう。発達障害者支援センターでは、発達障害に関する相談支援や直接支援を行っています。
そのほか、子育て支援センター、保健センター、児童発達支援施設、放課後等デイサービスなどでも子育てや発達障害についての相談ができるので、まずは気軽に相談してみてください。
認知度が高まり「発達障害」という言葉だけが知られてゆくなかで、障害について誤った知識や偏見を持っている人も少なくありません。発達障害は病気のように治るものではありませんが、適切な支援や合理的配慮を受けることで健常な人と同じように生活をしたり、自分の特性を受け入れて生きる方法を学んだりすることもできます。発達障害について、正しい知識を得て理解を深めていきましょう。
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