自閉症スペクトラム(ASD)のお子様にみられる「聴覚優位」

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★自閉症スペクトラム(ASD)のお子様にみられる「聴覚優位」

発達障害への支援を行う上で「得意」に対して支援を行うことが重要とされています。得意に対して支援行っていくためには、人間の「認知特性」の仕組みを理解することが重要です。その中でも、発達障害の分野においては、「自閉症スペクトラム(以下ASD)」と「視覚・聴覚の優位性」についてあわせて語られることがあります。
今回は、ASDと認知特性の一つである、聴覚優位との関係についてお話していきたいと思います。今回の内容が、お子さまへの子育てや支援の助けにすこしでもなれば幸いです。

自閉症スペクトラム(ASD)についてはこちらの記事で解説しています!!

◆認知特性とは?

まず、「認知特性」についてお話ししたいと思います。
認知特性とは、「目で見る・耳で聞く」などといった五感を中心とした感覚器官から入ってきた様々な情報を、脳の中で「整理」「記憶」「理解」する能力のことです。
同じ情報を見聞きしていても、人にはそれぞれの認知の得意・不得意があります。認知特性の要素を取り入れた支援を行うことで「できた」「わかった」などの成功体験を生むことができます。

◆聴覚優位とは?

認知特性の一つである「聴覚優位」とは、「視覚=目」に対して、「聴覚=耳」で取り込んだ情報の処理に優れている人を指します。耳から得られた情報を記憶、処理することにたけており、これらは「聴覚言語優位」とも言われています。聴覚優位者の特徴としては、

〇得意なこと
・口頭指示での理解に長けている
・音を活用した耳からの学習
・音楽の歌詞を覚えるスピードが速い
・英語などのリスニング問題
・耳で覚えた内容の暗唱、モノマネ

〇苦手なこと
・視覚からの指示内容
・読書
・人の顔を覚えること
・音楽を聴きながらの学習
・複数回書いて覚えるなどの機械的な学習

と、それぞれの得意、不得意が存在します。

◆聴覚過敏とは違うの?

基本的に、聴覚による優位性と聴覚過敏は異なるものとされています。必要な情報を聞いて、理解して、情報として整理して、蓄積する能力とは異なり、聴覚過敏な場合は小さな物音などに対しても会話同様に聞いてしまったり、大きく聞こえてしまったりします。そのため、耳からの情報処理を苦手としている場合が多いようです。

◆聴覚優位なお子様への寄り添い方

聴覚優位なお子さまは、「見て覚える」という学習を苦手とするため、「周りを見て動く」などの口頭指示の少ない場面になると後れを取ってしまうことがあります。また、耳から入る情報が入りやすいという反面、ざわざわしたような場所であると集中が続かなくなってしまいます。そのため、聴覚優位なお子さまに対しての寄り添い方をいくつかお伝えいたします。

・音読など、声に出しながら学習する
・覚えたい内容を何度も聞く
・言葉や文章にリズムや抑揚をつけながら読んだり歌ったりする
・替え歌を作ってメロディーにのせて学習する

聴覚優位な場合は、耳から入る情報処理に優れていますので、耳から情報が入りやすい学習方法が有効的です。また、前述したように、多くの情報が入ってしまうざわざわとした空間を苦手としていますので、周りに音が響かない環境、耳栓をして小さい音を遮断するなども有効的です。

◆さいごに

今回は、ASDのお子様にみられる聴覚優位の特徴についてお話ししました。耳からの情報が入りやすいため、音色を聞き分けたり、他言語の学習が得意だったりなど得意なことも多いです。また、聴覚優位という特性は、直前でもお話しした通り一般的なお子様にも多くあてはまる場合がございます。聴覚からの情報が入りやすい環境、教材に多く取り入れ、その他のものを取り除いてあげることで、その子にとって過ごしやすい環境となります。認知特性を理解してあげることは、ご家庭での生活、教育現場において重要なポイントとなります。お子様の発達について、少しでも疑問に思ったり不安に感じたりすることがあれば、ぜひ抱え込まずに専門機関へ相談してみてください。

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