子どもは、おおよそ年齢にあわせて言葉を学習していきます。それらにもいくつかの段階があると言われています。今回は、それらの段階について、また言語の遅れについてお話ししていきたいと思います。
子どもが話始めるのはいつごろから?
自分のお子さまが話始めるのはいつなのか、心配に思われる保護者様もいらっしゃるかと思います。子どもが話し始める段階についてお伝えしていきます。
〇生後9か月~ 【意味のある言葉】
この頃から、子どもの発する音が言葉として意味をもっていきます。
「ぶぶぶばぁぶ」「あむむむあぁ」など、会話しているようなイントネーションや音のつながりのあるジャーゴンと呼ばれる発語がみられます。また、喃語で発している音声を使って、大人の言っている言葉をまねて「まんま」「ぶーぶー」などと言うことができます。ただし、この時点では大人が言ったことに対する模倣にとどまり、意思を示すなどはできません。
また、この頃は、「大人、子ども、物」の三項関係が成立する段階です。
もっているおもちゃをママに見せるや、大人が見ているものに目を向けるなど大人と赤ちゃんの社会的相互作用によって積極的なコミュニケーションが行われます。
〇1歳前後 【幼児語・あいさつ】
この頃は、物や人や動物などに名前があることを知り始め、「わんわん」「ブーブー」など、一語文で物や事を表し、指をさしたりすることが多くなります。そのため、この時期は「命名期」ともいわれています。
この頃には、自発的にコミュニケーションをとろうとし始めます。言葉は、自身の関心や大人との関わりとともに発達していきます。
子どもの発語の多さは、大人や環境からの刺激へどれだけ興味をもつかといったモチベーション面が大切であるといわれています。
〇1歳半前後 【お願い言葉】
この時期にみられる、新しい言葉を急激に覚え、言葉で表現することが多くなる現象を「語彙爆発(ごいばくはつ)」と言います。語彙爆発には、新しい言葉を話さないプラトーという停滞時期があることもよく知られています。この時期から、徐々に新しい言葉を覚えるスピードが速くなっています。しかし、この頃はまだ言葉を完全に理解しているわけではなく、相手の表情や状況から試行錯誤しながら新しい言葉を学んでいる状態です。
この時期はまだ「一語文」で話す子が多く、1歳終わりごろから2歳にかけては、その時言いたいことをうまく説明する言葉をみつけることが、まだ難しいといいます。そんなとき子どもは、動作や感情にあった「オノマトペ」を使用するといいます。
〇2歳~3歳
2歳を迎えるころには、多くの子どもが「ママ だっこ」「まんま たべる」などの「二語文」を話すようになります。二語文を習得するとすぐに三語、四語とつなげた文法での発語がみられるようになります。
子どもたちは徐々に文法を理解していき、一語文から二語文へと移行していきます。
2歳半くらいになると、「でんしゃにのっておでかけする」や「おばあちゃんにもらったほんよむ」のような、名詞を説明する言葉が入った文を話すようになります。
〇3歳~4歳 【出来事の理解】
3歳後半から4歳前半にかけては、一連の出来事の流れを言葉で話すことができます。また、多くの言葉が理解できるようになり、表現力も豊かになります。
「思う、考える、信じる」など、相手のさまざまな心の働きを推測する能力が発達し、物語や会話の意味をより深く理解できるようになります。
発達の遅れ?目安となる時期
ここまで、子どもが言語を理解し獲得していく過程について説明しました。しかし、ご家庭のお子さまがどの程度まで獲得できているか、成長しているかをどう判断したらよいのでしょうか。多くの場合は1歳半、3歳時に行われる健診で触れられることが多いようです。。
言語の表出に関しては、言葉の遅れだけではなく、子の性格などもかかわってくるため、健診時期の判断を受けてその後について参考にしていきましょう。
言葉が遅れる原因とは?
ご家庭のお子さまの言葉が遅れていると判断されて際、「どうして遅れているのだろう」と原因について考えるかと思います。遅れの原因としていくつか紹介していきます。
〇聴覚による聴こえの問題
耳の聞こえが悪いことで言葉が遅れる場合があります。重度の聴覚障害があれば、新生児の時期や健診の時に発見され気づかないということはないと思いますが、中耳炎などの耳の病気を繰り返すお子さんでは、途中から聞こえにくくなる、片耳だけ聞こえにくい、高い音だけ聞こえにくいなど、発見が遅れる場合があります。
〇知的発達による遅れ
知的な発達全体がゆっくりの場合、言葉の発達もゆっくりになります。この場合、運動や着替え、食事などの動作、おむつの取れる時期、お絵描きや遊び方なども、同じくらいの年齢のお子さんよりゆっくりで幼い様子になります。
〇自閉スペクトラム症などによる遅れ
知的障害がない場合でも、自閉スペクトラム症などの発達障害が原因でコミュニケーションに遅れや偏りが生じることがあります。視線が合いにくい、ちょっと普段と違うことがあるとパニックになる、かんしゃくが強い、遊び方にこだわりが強いなどの特徴があり、お友達とうまく遊べない、トラブルになるといった特徴がみられます。言葉の出方についてはさまざまですが、質問したことに答えない、一方的にDVDのセリフやコマーシャルのフレーズを言う、オウム返しになってしまう、独り言が多いなど、コミュニケーションの取りにくさが特徴です。
最後に
お子さまの様子を見ていると不安にお婿とも多くあるかと思います。そんな時は、健診の時に担当してくれた保健師さんなどに相談してみましょう。専門的な医療機関や児童発達支援の事業所など、相談先を紹介してもらえると思います。
子ども発達センター、療育センター、などの専門機関には、言語聴覚士や作業療法士などの専門家による発達支援を実施ししているところがあります。都道府県によって対応は異なりますが、分からないことがあれば、まず問い合わせてみてください。
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