「ソーシャルスキル」とは「生活技能」や「社会技能」と訳されることもあり、文献などで定義に多少の差はありますが、「対人関係や社会生活を営むために必要な技能(スキル)」のように定義づけられることが多いです。
広くは身辺自立や交通機関の利用など基本的な生活スキルを含むこともありますが、ここでは主に「対人関係上で相互作用に必要なスキル」を取り上げ、解説していきます。
ソーシャルスキルトレーニングでは、対人関係や集団生活を営みやすくするための技能(スキル)を養います。ASDのあるお子様の苦手なことについて、詳しく説明していきます。
実際のSST(ソーシャルスキルトレーニング)の例
ソーシャルスキルトレーニングは、以下のような方法でおこなわれることが多いです。
① 教示
インストラクションともいわれます。
まず、そのスキルが必要な理由と、スキルが身につくとどのような効果・結果があるかを言葉や絵カードなどを用いて伝えます。約束やルールとして提示する場合もあります。
② モデリング
手本となる適切な振る舞いを見せたり、不適切な振る舞いの例を見せてどうすれば良いか考えてもらいます。動画教材やプリントなどを用いて、実際にお子さまがイメージしやすい場面を取り上げて考えていきます。
③ リハーサル
指導員やクラスメイトを相手にして実際に練習します。ロールプレイングやゲーム場面の中で練習したり、ワークシートを用いることもあります。
④ フィードバック
お子さまの行動を褒めたり、「~するともっと良いね」と修正を促すことをフィードバックといいます。
リハーサルでの行動や反応を振り返り、適切にできたことを評価し、実施が難しかった場合はどうすればうまくいくかを伝えます。
ASDのある子どもの苦手なことを紹介してきました。こういった苦手は子どもの努力不足ではなく、本人も苦しい思いをしています。
⑤ 般化
学習したスキルを、実際にどのような場面・人・場所にも発揮できるようにします。
お子さまの中には、指導場面ではスキルを発揮できるのに、実際の生活場面ではうまくいかないことがあります。般化を促すためには、お子さまの環境面にも目を向け、獲得したスキルを発揮しやすいよう環境を整える必要があります。
また、実際にソーシャルスキルトレーニングをはじめる前には丁寧にアセスメントをおこない、お子さまがいつ・どんな場面で・なぜ困っているのかを把握することも重要です。その上で、見えてきた課題の中から優先順位を決めて、具体的なスキル獲得を支援していきます。
★SSTを実施するうえで大切なこと
ソーシャルスキルトレーニングを実施するにあたって大切なことは、お子さま自身がソーシャルスキルを学びたいという意欲を持てるようなプログラムを作ることです。
ソーシャルスキルトレーニングが必要なお子さまは、対人関係や集団参加がうまくいかず注意されたり怒られることが多くなりがちで、自分を否定的に捉えてしまっていることも少なくありません。
スキルを身に付けることで、自分の気持ちが伝わりやすくなったり、友だちと楽しく過ごせるようになるなど、お子さま自身が学ぶメリットを感じられるよう支援していきます。
またお子さま本人へのアプローチと併せて、環境面にもアプローチしていくことが重要です。
★トータスジュニア・トータスミドルのSST
トータスジュニア・トータスミドルでは、児童発達支援・放課後等デイサービスを運営しており、特に就労準備型放課後等デイサービスであるトータスミドルでは毎日の日課に取り入れ、人の気持ちを考える練習や円滑にコミュニケーションができるスキルを身につけるためにSSTを提供しております。
【トータスミドルのSST実践例】
・コミュニケーションスキル(感情のコントロール、自分の気持ちを伝える、相手の気持ちを考える等)
・働くスキル(パソコン基本・応用操作方法、働くとは、ビジネスマナー等)
・生活スキル(身辺自立、整理整頓、見通し等)
どんな支援が受けられるのか詳しく知りたい方や一度相談したいといった方は、お気軽にお問い合わせください。
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